沖縄県国頭村 採集記

⚠️注意⚠️
本記事は完全なる自己満足だけで成り立っている備忘録です。観光では無いのでタイトルは採集記となっておりますが、生き物はそこまで登場しません。その点をご了承の上で最後までお付き合いいただければなと思います。



まずは本記事で登場するM氏や私について軽く紹介しようと思う。

友人M
だいすけの2歳年上、学位はMaster(見込み)。BE-KUWAレコード1種保持。未だになんで仲良くなったのかわからない。サイクルがはやいのがすきで最近はサビにお熱、直近ではパリーオオクワを始めた変わり者

私(だいすけ)
虫が嫌いで飼育が下手、好きな虫は主にドルクスで特に小型ヒラタとパリーオオ。体をよくぶつける、滑舌が悪い。

ことの発端はM氏から、9月23日まで遡る。

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生理現象みたいなノリで沖縄行きたくなるんだなと思った。

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※何取るの→何採るの これくらいの変換は許せ、個人LINEなんだから

そりゃ行くでしょ!
友達の少ない私は、顔も合わせたことの無いネッ友の誘いでも嬉しくて二つ返事で了承。ケブカコフキコガネを見てみたい気持ちは勿論だが、何よりオキナワシリケンイモリを見てみたかった。私はガタ虫屋だが、有尾類も結構好きなのである。オキナワシリケンイモリとクワガタで何か採れればいいなという気持ちだった。

旅券を取ったり宿を確保したりするうちに気がついたら出発日前日になっていた。名古屋の私の部屋に前泊することになっていたので、夜行バスでやってくる彼を名古屋駅まで迎えに行った。

今まで電話越しの声しか聞いた事が無かったので、対面した時は生暖かい感動があった。何気にネットで知り合った人とリアルで会うのは初めて。変な緊張もあってか、

あの、どうも、だいすけと申しまスゥゥゥグヒヘヘヘニチャァ

生来の滑舌の悪さとキモさのマリアージュが炸裂。
やっぱり自分はきしょかったのだった。

前泊とは言え、彼には名古屋グルメを堪能して貰おうと思っていたが、色々あって結局は私行きつけのインド料理屋へ。私がインド料理で優勝する度に写真を送り付けていたので彼自身とても気になっていたらしい。

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「これを食べに名古屋に来た」とM氏。
実際ここの料理美味いからね、しょうがないね。

上質なナンと美味いカレーを腹パンパンに詰め込み、血糖値スパイクによって気絶するように寝たのだった。

2022.12.19   こんにちはやんばる

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▲早朝でも皆さんほんのり足取りが軽い。
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▲一覧の中ほどにあるAPJ483便が私達の便。

片道1時間ほど電車に揺られて中部国際空港に到着。軽い朝食を済ませ、手荷物をさっさと預けていざ保安検査場へ!
飛行機の経験が浅い私は保安検査場にハサミとピンセットを持ち込んでしまい、危うく没収されそうになった。聡明な皆さんはきちんと預け荷物の中に入れましょう。

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保安検査場を抜けてからは搭乗までしばし休憩。ほぼ始発で空港に来たからね、眠いんだよ。動く歩道に2人してキャッキャしながら思い思いの時間を過ごす。M氏は昨晩一緒に食べたインド料理に腹を破壊されてしばしトイレと仲良くしていた。私は常にインド料理を食し、胃腸を鍛えているので余裕だったたまに敗北する。これがインド料理スパルタ胃腸調整法である(民明書房並感)。This Is Sparta !!! そんな私は飲み物を買おうとして小銭を取り出す際に自販機と床の間に100円硬貨を落とし、膝から崩れ落ちた。お互い順風満帆とは言えないが、これから踏む沖縄の地を一度想像すれば気分の高揚を隠しきれないのだった。

搭乗の時間になり機内へ雪崩込む。M氏が窓際、私は通路側。彼曰く「飛行機を予約した人間の特権」らしい、うーむそりゃ仕方ない。

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空の旅というのはいつだって良いものである。

寝たり本を読んだりしていたらすぐに那覇空港が見えてきた。

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海がすんばらしく綺麗。

着陸してから預け荷物が出てくるまでの時間を考慮せずに計画を立てていたあほので予定のバスに乗れなかったが、なんとか支障の無いダイヤのバスを見つけられた。

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▲バス乗り場
ほどなくしてバスが到着、ここでもM氏は窓際に座りたがった。子供かな???

沖縄の北部へ向かう道はカーブに富み、よく揺れるせいか、車に酔いにくいはずの私が酔ってしまったので酔い止めの携帯をおすすめする。バスは乗り換え含め片道3時間。なかなか大変である。

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▲見たことのない街路樹
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▲海が綺麗過ぎる
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▲乗り換え地点の名護バスターミナル

乗り換え地点への到着が10分ほど遅れたため次のバスが間に合わなくなってしまった。沖縄のバスはそれなりに遅れるので、あまりシビアな乗り換え計画を立てないことをオススメする。これがウチナータイムってやつなのかなぁと二人して思ったのだった。しかしこの後、期せずしてそれに助けられることとなる。

なんとか乗り換えを行い、バスはいよいよ北部に入り始めた。乗り換えができたことに安心したのも束の間、私達の財布の中に千円札が無いことに気づく。バスでは高額紙幣が使えない。当たり前なことだ。しかし二人の財布の中には諭吉と樋口しかいない状況。バスの車内アナウンスでも「高額紙幣はご利用になれません」とリフレイン。国頭村にどんどん近づいているのに支払いへの不安が増幅し楽しめない。とうとう降車駅になり、運転手さんにかけあってみると

👨‍✈️「目の前の道の駅でお金を崩してきてよ、待ってるから」

待っててくれるのかっ?ダイヤの乱れとか大丈夫なのかっ?とか逡巡する暇無く、物質としてキャリーケースをバスに預けて道の駅でお金を崩す。バスと道の駅間をダッシュで移動し、無事支払いを終えた。

ウチナータイム、ありがとう………

待っててくれた運転手さん、そしてお金を崩す時間をくれるくらい緩い?島の時間感覚に感謝した。
その後の3日間、高額紙幣の恐怖に駆られた2人の財布に野口英世が溢れかえったのは言うまでもない。

予約していたレンタカーを借りる。ここで印象に残ったのは、店員さんの警告具合が本土と明らかに違うことだ。本土では「まぁそう事故らないよね、でも事故ったら連絡してくれよな☆」みたいな具合だが、沖縄では「マジで事故るから、ガチ気をつけろ、なんかあったらすぐ連絡しろ」と言った感じ。それだけ事故が多いのだろう。道が珊瑚の粉で滑りやすくなっていたり、道が狭い故に擦ってしまったりとアクシデントが多いと言われた。

👩‍💼「お客様は狭い道など入られるご予定はありますか?」

店員さんは私達の出で立ちを見てある程度は察しているようだったが、念の為聞いてくれた。
バリバリ入りますとも…事故らないようにします…

店員さんの説明にビビり散らかしつつも、なんとか出発し今日から3日間お世話になる宿へGO。

宿に荷物を置いたら休憩もそこそこに、近くの林道で探索を始めた。

林道はかなり湿っていてぬかるみ、場所によっては湿地になっている。M氏は近場の材を割り始めたので、私も本命のオキナワシリケンイモリを探し始めた。
「こういう止水気味なところにイモリいそう…」と水辺に近づくと、足元の水没した草がサワサワと動き、何かが水中で平を打つ。泥水で茶色い視界に鮮やかな朱色が映える。

イモリだ!!!シリケンイモリだ!!!

無我夢中で捕まえ、手に取った。オキナワシリケンイモリのメスだ。興奮の余り、この時の個体は写真を撮れていない。辺りを見渡すと

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水面にイモリが複数匹浮かんでいる。
非常に楽しい。

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上陸前の幼生もいた。

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この場所ではかなりの数のオキナワシリケンイモリを観察することができて大満足。


いくら日の入りが遅い沖縄と言えど暗くなってきたので撤収。6時には暗くなるイメージ。

宿に帰ってからシャワーを浴び、待ちに待った夕食である。


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優勝🍻食べかけの沖縄そばを写してすまない。

最高である。酒が美味い。まさか初日のこの短時間で本命の生き物に出会えるとは思っていなかった。

夕食後はケブカコフキコガネを探しに夜の林道沿いを歩く。
夜の国頭村はだいたい気温15℃くらい。個人差あれど、長袖長ズボン、薄いウィンドブレーカーのような物があれば十分出歩ける。なんならたまに暑い。

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このようにロードキルされたイモリが頻繁に見られた。カリカリになっているのでいつのものか分からないが、そこそこの数の死骸を見ることができた。生きている姿に感動した夜だけに、より心が痛む。

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マダラコオロギ??
ぴょんぴょんと飛び跳ねて愛いやつである。

二人でリュウキュウチクの繁茂する場所を重点的に探すも羽音ひとつ聞こえない。SNS上では既に採集した方々のツイートがあるのでまさか発生していないというわけはない……そんな思いも虚しく全くの手がかりを得られぬまま、国頭村初めての夜は終わった。